「このままでいい」と思っている親御さんへ。不登校の長期化と認知的不協和について考える
「最近はお子さんも家で落ち着いている」
「無理に学校へ行かせるより、このまま見守ったほうがいい」
「学校だけがすべてじゃない」
不登校のお子さんを支えている親御さんの中には、こう考えるようになった方もいらっしゃるかもしれません。
そして、その考え方自体が間違っているわけではありません。
不登校になったばかりの時期には、学校へ行けないことへの不安や焦りが大きかったものの、時間が経つにつれてお子さんが少しずつ元気を取り戻し、
「今はこれでいいのかもしれない」
と思えるようになることもあります。
これは、お子さんにとって必要な「休養」を親御さんが受け入れられるようになった、と考えることもできます。
一方で、不登校支援に携わる立場から、親御さんに一度だけ考えていただきたいことがあります。
それは、
「このままでいい」と思えることと、「このままが本当にお子さんにとって最善であること」は、同じではない
ということです。
今回は、このことを考えるヒントとして「認知的不協和」という心理学の考え方を紹介します。

認知的不協和とは?
認知的不協和とは、簡単に言えば、
自分の中にある考えと、現実との間にズレが生じたとき、その不快感を減らそうとする心理
のことです。
例えば、
「お子さんには学校へ戻ってほしい」
と思っている親御さんがいたとします。
ところが、お子さんは学校へ行かない状態が何ヶ月も続いています。
最初は、
「どうすれば学校に戻れるんだろう」
「このままで大丈夫なんだろうか」
と悩みます。
しかし、その状態が長く続くと、親御さん自身も疲れてしまいます。
そこで、
「無理に学校へ行かせる必要はない」
「学校へ行かなくても幸せになれる」
「本人が元気なら、それでいい」
と考えることで、少し心が楽になることがあります。
もちろん、これらの考え方が間違っているわけではありません。
実際、不登校の時期が、お子さんにとって休養や自分自身を見つめ直す時間になる場合もあります。
文部科学省も、不登校への支援について「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、お子さんが自らの進路を主体的に考え、社会的に自立することを目指す必要があるとしています。
だからこそ、
「学校に行かせなければならない」
と焦る必要はありません。
ただし、ここで一つ注意したいことがあります。
「このままでいい」と「本当にこのままでいい」は違う
例えば、お子さんが現在、
・家では笑顔が増えた
・親御さんとの会話もできている
・ゲームや動画を楽しんでいる
・友達と遊ぶこともある
・以前より落ち着いている
という状態だったとします。
親御さんからすると、
「以前より元気になったし、このままでいいのかな」
と思うのは自然なことです。
実際、それは大切な変化です。
しかし、
「今、苦しんでいない」ことと、「今後もこの状態を続けることが最善である」ことは別問題です。
ここは分けて考える必要があります。
例えば、
「今は元気だけれど、昼夜逆転が続いている」
「家族以外との関わりがほとんどなくなっている」
「勉強から長期間離れている」
「将来の進路について考えることを避けている」
「学校へ戻りたい気持ちはあるのに、動き出せない」
という場合もあります。
反対に、
「学校には戻らないという本人の意思が明確で、別の学習環境や人間関係を築いている」
「通信制高校やフリースクールなど、自分に合った環境で前向きに生活している」
というケースもあります。
つまり、
不登校という事実だけを見て「問題」と判断することも、反対に「家で元気だから問題ない」と判断することも、どちらも十分ではありません。
大切なのは、
「今のお子さんがどのような状態なのか」
そして、
「この状態が、お子さんのこれからにどうつながっていくのか」
を見ることです。
不登校支援で大切なのは「学校に戻すこと」だけではない
ここは誤解してほしくありません。
ルートサポートは、不登校のお子さんを何が何でも学校へ戻せばいいと考えているわけではありません。
文部科学省も、不登校支援は「学校復帰だけ」を目標にするのではなく、社会的自立を目指すことが重要だとしています。
一方で、文部科学省は、不登校の長期化によって学業の遅れや進路選択上の不利益、社会的自立へのリスクが生じる可能性についても示しています。
つまり、
「学校に行かなくてもいい」
と
「何もしなくてもいい」
は、まったく違います。
ここを混同しないことが重要です。
学校へ戻るのか。
別の学校へ進むのか。
フリースクールを利用するのか。
通信制高校など別の教育環境を選ぶのか。
まずは生活リズムを整えるのか。
人との関わりを少しずつ増やすのか。
お子さんによって必要な支援は違います。
だからこそ、
「学校へ行くか、行かないか」だけで考えないこと
が大切なのです。
「見守る」と「何もしない」は違う
不登校支援では、
「お子さんを見守りましょう」
という言葉をよく耳にします。
これは、とても大切な考え方です。
お子さんの状態を無視して、親御さんが焦って登校を迫れば、かえって状況が悪化することもあります。
文部科学省も、不登校への対応について、画一的に「登校を促す」「促さない」と決めるのではなく、お子さんの状態や不登校の要因・背景を踏まえて、適時・適切に対応することが重要だとしています。
ただし、
見守る=何もしない
ではありません。
本当の意味での「見守る」とは、
お子さんの状態を観察し、
必要なタイミングを考え、
将来の選択肢を調べ、
必要であれば支援につなげることです。
場合によっては、
「今は休ませる」
という判断も必要でしょう。
場合によっては、
「そろそろ次の一歩を考えてみよう」
という働きかけが必要になることもあります。
大切なのは、
お子さんの今だけを見るのではなく、今から先を見て判断すること
です。
親御さん自身が「このままでいいのかな?」と感じたら
もし、この記事を読んで、
「もしかしたら、私も『このままでいい』と思うことで安心しようとしているのかもしれない」
と感じたとしても、自分を責める必要はありません。
不登校のお子さんを支える親御さんは、決して楽な立場ではありません。
毎日お子さんの様子を見ながら、
「これで合っているのかな」
「何かしたほうがいいのかな」
「でも、これ以上追い詰めたくない」
と悩み続けることになります。
だからこそ、自分の判断を一度立ち止まって見直すことは、決して悪いことではありません。
むしろ、
お子さんのために今できることを考え直すための、大切な機会
になるかもしれません。
「今、幸せそうだから大丈夫」で終わらせない
不登校のお子さんが笑顔を取り戻した。
それは、とても嬉しいことです。
家で安心して過ごせるようになった。
それも、大切な一歩です。
だからこそ、その先を考えてほしいのです。
「今のお子さんはどうか?」
だけではなく、
「半年後のお子さんはどうなっていてほしいか?」
「1年後のお子さんは、どんな選択肢を持っていてほしいか?」
「将来、お子さん自身が自分の人生を選べる状態になっているか?」
ここまで考えてみてください。
不登校支援の目的は、単純に「学校へ行かせること」ではありません。
そして、単純に「学校へ行かなくてもいいと安心すること」でもありません。
お子さんが、自分の未来を選べる状態をつくっていくこと。
それが、不登校支援を考えるうえで大切な視点だとルートサポートは考えています。
「このままでいいのか分からない」なら、一度ご相談ください
不登校のお子さんへの対応には、絶対的な正解があるわけではありません。
だからこそ、
「学校へ行かせるべき?」
「もう少し見守るべき?」
「今の対応で大丈夫?」
「このまま長期化したらどうなる?」
と悩むのは当然です。
ルートサポートでは、不登校のお子さん本人だけではなく、親御さんの悩みにも寄り添いながら、お子さんの現在と将来の両方を考えた支援を行っています。
「このままでいいのかな」
そう思ったときこそ、無理に答えを出す必要はありません。
まずは一緒に、
「今のお子さんに何が必要なのか」
を考えてみませんか。
初回相談では、現在のお子さんの状況や親御さんが抱えている悩みをお聞きしながら、今後の対応について一緒に整理します。
「このままでいいのか分からない」
そんな段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
初回無料相談は以下からお申込みください。